「遺言信託」について
遺言信託とは?
銀行が高齢者などに「遺言信託」の利用を勧めることがありますが、この「遺言信託」とは、どのようなものなのでしょうか。
法律上、「信託」とは、委託者が受益者のために財産の管理運用等を受託者に任せることをいい、遺言者は遺言でこの信託を設定できます(信託法3条)。たとえば、まだ幼かったり、障害があったり等の理由で、ひとりでは相続財産の管理運用をすることができない子のために、遺言で、相続財産の管理運用を受託者に任せ、その子が定期的に生活費を受け取ることができるようにする場合です。
銀行が勧める「遺言信託」とは?
しかし、普通、銀行が勧める「遺言信託」はこれではありません。
銀行が勧める「遺言信託」は、上記の意味での信託とは全く関係がなく、単に、
①銀行が遺言書の作成についてアドバイスし、
②相続開始時までの間、遺言書を保管し、
③(場合によっては)遺言執行を行う
というサービス(金融商品)のことです。
しかし、①についていえば、銀行のアドバイスは、弁護士等の専門家のアドバイスよりも質が高いということはあまりないでしょう。
また、②についても、公正証書遺言であれば公証役場で永久保管されますから、わざわざこれを銀行に保管してもらうメリットはありません。
さらに、③についても、遺言者の死亡後、相続人間で争いが生じると、銀行は紛争に関与できないため、遺言執行者に就任することはありません。
そして、一番の考えどころは、銀行の「遺言信託」が、結構高額だということです。一概にはいえませんが、上記の①~③を弁護士に依頼した場合よりも手数料が相当高額になることも多いといえます。
「遺言信託」という言葉に惑わされず、サービスの内容と手数料とをしっかり見比べることが大切です。
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