代襲相続
2人兄弟の母が遺言をせずに亡くなりました。兄は母より先に亡くなっており、兄の奥さんと子が残されています。母の財産をどのように分ければよいのでしょうか?
相続人となるはずの人が既に亡くなっていて、その人に子がいる場合、その子が代わって相続することになります。これを「代襲相続」といいます。
代襲相続が生じるかどうかは相続人となるはずだった方の死亡の前後で違ってきますし、代襲相続によって借金などのマイナスの財産を受け継ぐ場合もあります。こうした問題に対応するには法的知識が必要となりますので、代襲相続についてわからないことがございましたらお気軽に弁護士にご相談ください。
代襲相続とは
相続人となるはずの人が既に亡くなっていて、その人に子がいる場合、法定相続分はどうなるのでしょうか。
具体的に、お母さんと長男・二男がいて、長男に子(お母さんの孫)がいる場合で考えてみましょう。お母さんが遺言をせず2000万円の財産をのこして亡くなった場合、長男が生きていれば、長男・二男の法定相続分は1000万円ずつとなります。しかし、長男がお母さんより先に亡くなっていた場合、長男の子(お母さんの孫)が長男に代わって1000万円を相続することになります。
このように、亡くなった人(被相続人)の子や兄弟姉妹が相続できない場合に、その者の直系卑属(子・孫など、世代が直線的に下に連なる関係ある親族)が代わって相続をすることを「代襲相続」といいます(民法887条2項、889条2項)。
配偶者や直系尊属は代襲相続の対象とならないので、長男の妻や祖母が長男に代わって相続をすることにはなりません。
被相続人の子や兄弟姉妹に代わって相続をする者は、「代襲者」とよばれ、被相続人の直系卑属に限られます。
代襲者は、相続人となるはずだった人の相続分を相続します。上の例でいえば、長男の子(お母さんの孫)が1人の場合は長男が相続するはずだった1000万円をそのまま相続しますが、長男の子(お母さんの孫)が2人いれば1000万円の1/2すなわち500万円ずつを相続することになります(民法901条、900条)。
再代襲
お母さんが亡くなる前に長男の子(お母さんの孫)も亡くなっていた場合は、長男の孫(お母さんの曾孫)が代襲者となります。このように代襲者が相続できない場合に相続人の直系卑属が代襲することを「再代襲」といいます。
再代襲は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合には認められません。例えば、既に親が亡くなり長男と二男だけの場合、二男が亡くなると長男が相続人となります。長男が子(二男の甥・姪)を残して二男よりも先に亡くなっていれば、長男の子(二男の甥・姪)が長男に代わって相続をすることになります。しかし、長男の子(二男の甥・姪)も亡くなっていた場合、長男に孫(二男の甥・姪の子)は代襲者となりません。これは、代襲者の範囲が広くなりすぎて、代襲者の存否や所在を把握するのが困難となることなどが理由とされています。
代襲相続の原因
代襲相続の原因としては、被相続人の子や兄弟姉妹が相続開始以前に亡くなっていることが代表例です。災害などで、被相続人と被相続人の子や兄弟姉妹が同時に死亡した場合(民法32条の2)も含まれます。
そのほか代襲相続の原因としては、遺言書の偽造などの相続欠格事由があること(民法891条)、家庭裁判所の審判による相続廃除(民法892条、893条)があります。
しかし、相続の開始後に相続人が自らの意思により相続しないことを選択する「相続放棄」(民法938条)は、代襲相続の原因になりません。つまり、相続放棄をした人の子や孫は、相続ができないことになるのです。
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