遺言を撤回する方法としては、民法1022条以下に規定があります。
ちなみに、民法1022条では、「撤回はいつでもできるが、『遺言の方式に従って』行わないとダメだ」ということになっています。
今日は、撤回の方法として、「遺言書の破棄」について説明します。
民法1024条では、「遺言者が故意に遺言書を破棄した場合にときは、その破棄した部分については遺言を撤回したものとみなす」と規定されています。
遺言の撤回の方法としては、先ほどの「遺言の方式に従って」撤回するということのほかに、この「遺言書の破棄」ということもOKということになります。破棄、つまり、破り捨てるとか、燃やしちゃうとか、そういう方法でも遺言の撤回としてOKということになります。
では、自筆証書遺言の遺言書全体に斜線を引く行為は、遺言書の「破棄」に当たるのでしょうか?
この点は、民法968条2項で、遺言書の加除は、①変更の場所を指示しこれを変更した旨付記し、②署名し、③変更場所に押印することが必要とされていることから問題となりましたが、最高裁は「全体に斜線を引く」というのも「破棄」にあたると判断しました。
ただし、公正証書遺言は、遺言書の「原本」が公証役場で保管されますから、手元にある「正本」とか「謄本」とかを破棄しても、遺言の撤回にはならないので注意が必要です。
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筆者プロフィール
弁護士 奥田 貫介
おくだ総合法律事務所 所長
司法修習50期 福岡県弁護士会所属
福岡県立修猷館高校卒
京都大学法学部卒
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